感動の宝田 明ワンマンショー

 ホテルの一室を借り切った。総勢42名の団員が着席した。部屋の照明を少し落とした。
 ステージの脇の部屋から宝田さんが、「慕情」…Love is a many splendored thing…
と歌いながら颯爽と現れる。拍手と歓声が沸き起こる。「宝田明ワンマンショー」の開幕である。
 気配りとサービス精神旺盛な宝田さんは、自ら申し出たこの夜のショーのために夕食抜きで準備に取りかかった。
 歌とトークのステージは自作自演の演出だった。
 団員全員に歌詞カードが渡され、一緒に歌おうという趣向。歌は皆が子供のころに覚えて知っている叙情歌、昔の小学唱歌など・・・。
 歌の合間のトークは彼の育った中国東北部ハルビン、敗戦を迎えた少年時代の苦難の記憶。その話に感動を抑えきれない。
 そしてフィナーレに「千の風になって」を歌った。過去に何枚もレコードを出している「歌手宝田明」の喉は衰えを感じさせない。
 曲のもつ感動を十二分に表現した。
 終演に際して、田邊会長が「皆さん、今夜のこの感動をそのままベッドにお持ち帰りください」と異例の謝辞を述べた。ベッドばかりでなく、その感動を日本まで持ち帰った人は多かったに違いない。
 歌いながら客席に近づいた宝田さんから、頬っぺたにキッスされた妙齢のご婦人にとっては、生涯の思い出となったかもしれない。

 翌25日、広州まで戻り一泊。26日に帰国した。

全団員を感動させた宝田明ワンマンショー
(女性団員との合唱の1コマ)
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